尹住職のお話 
[自殺は「社殺」]

自殺は「社殺」日本では毎年、約3万人の自殺者がいると報道されています。一日約100人です。戦争よりもテロよりも悲惨なことですが、メディアの取り上げ方や、「自殺」という表現には疑問を感じます。

人は生きるために生まれます。オモニのお腹の中から細い産道を通り、苦しい思いをして生まれます。この世で生きることも大変なことです。四苦八苦という言葉があるように、苦しんだり思い通りならずに腹が立ったり憂鬱になったりもしますが、それがまさに生きるという営みなのです。

ですが、もう生きていけない、死んだら苦しみから逃れられると錯覚し、自ら命を絶ってしまいます。そう錯覚させているのはまさに社会です。

「自殺だ、自殺だ」と騒ぐ人は自殺しません。社会は無関係を装い足元の一大事を見過ごし、一日100人を見殺しにしているのです。まさに「社殺」です。

ビルから飛び降りようとしている人に大金をあげれば、その人は踏み止まることでしょう。誰もが本当は生きたいのです。もちろんお金ですべては解決しませんが、「社殺」するのではなく、手を差し伸べることが大事なのです。

■イラスト
河美香(埼玉初中教員)

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